東大阪の学び場|マナビー

第5回 哲学のマナビー

講師:居細工 豊

キーワード
『われわれは隠喩によって生きている』

設問1

ジョージレイコフとマークジョンソンのMetaphors we live by.
つまり、【われわれは隠喩によって生きている】について、
どういうことを言っているのか簡単に説明しなさい。

設問2

さらに、フェルディナン・ド・ソシュールの
【言語には世界を喚起する機能がある。】と言う考え方と結びつけて、
新しくあなたが発見した認知に関する考え方を簡潔に述べなさい。

ヒントでピンと

私は何回もあることですが、
【口は災いの元】と言う格言を痛感する事はありませんか。
よく考えると、ここで言う口とは
我々の発言内容や発言の仕方のことです。

出題の意図

言語が、われわれ人間にとって
どれくらい凄まじい価値を持っているか
ということを知ることが、今回の出題の意図です。

回答のお手本

設問1. 上下、明暗、前後などとの類似を使った隠喩こそが
私たちの概念(価値)体系の本質を根本的に形成しているということ。

設問2. 我々が、すでに実在する世界の個物に言語というラベルを貼りつけているのではなく、
母語の言語(の差異の)体系に従って、世界像を得ているのだというソシュールの知見と、
隠喩こそがこそが私たちの概念(価値)体系の本質を根本的に形成しているという知見を統合すると、
我々の世界観や価値観は完全に、母語の言語体系に依存していることがわかる。

そうだとすれば、自分の属する言語体系が違えば、世界観や価値観も違うということになる。
つまり、世界観や価値観は言語相対的であるという事だ。
それならば、グローバル社会におけるコミニュケーションの最適なあり方は、
相互に相手の世界観や価値観や文化の違いを認めた上で、
自分の意見を述べるように努める態度になるのではないか。

参加者の回答

回答 1

設問1. 人は概念を認知する際、それとは別の概念領域を通して理解している。
言語は勿論のこと、行動や思考に至るまで、すべての活動がこの隠喩を基盤としている。

設問2. あ人は常時無数の概念に囲まれて生きており、
これらは言語により意味世界として喚起されている。
全ての概念が隠喩を通し、同じ認知を基盤に理解されているのであれば、
我々は同時多発的に喚起される無数の世界を並行して生きていると解釈できる。


回答 2

設問1. われわれの経験や行為の多くは本質的にメタファーから成り立っており、
また、われわれの概念体系の多くはメタファーによって構造を与えられている。
概念体系に変化が起これば、われわれにとっての現実であるところのものは変わり、
われわれの行動の仕方にも影響を及ぼすのである。

設問2. 個々の語は単独では何の意味も持っていない。
個々の語が担っているのは差異だけである。
文脈の中でしか意味は生まれない。
同じように、あるものの性質や意味や機能は、そのものがそれを含むネットワワークあるいは、
システムの中で「どこに」存在するかによって事後的に決定されるものである。  

以上のラングの認識に立った上で、
私たちは「静態としてのラング」と「動態としてのパロール」の往還運動のダイナミズムを通し、
新たにテクストを生産することができる。
 そのようにして、私たちは既成概念に囚われることなく
「自分の人生」という物語を生きていくことができる。


回答 3

設問1. 隠喩を用いると相手の印象や感情に訴えかける効果がある。
つまり人間は社会の中に存在している以上他者との関わりが必要だ。
その関わりを保つために、他者の中にあるイメージを沸かせ、意味理解させることが必要である。
だから隠喩によって生きているということになる。
もし他者の中にない隠喩で伝えると、関係性が壊れたりする。
また隠喩を使用しすぎると意味理解がされないこともある。

設問2. 人間は認知するために判断する知識が必要である。
つまり認知したことを判断させるものが言語の意味理解である。
しかし、判断する知識がなければ相対的な判断でしかない。
「オンライン授業」「デジタル化」は教育界でなかなか認知されない。
なぜならば、「オンライン授業」「デジタル化」の有識者が一部しかいないと同時に
相対的な判断をする他方法しかないからである。
つまり世界を喚起させるためには、言語の意味理解をできる人を増やす必要性がある。


回答 4

設問1. 人間がある物事を認知するために、別の物事と比較し、
一致する構造と差異のある構造を見出すことを隠喩という。
人間は他者との意思疎通を要する社会的な動物であり、
隠喩は人間の思考や行動の過程において必要不可欠なものである。
よって、我々は隠喩によって生きていると考えることができる。

設問2. 私が新たに発見した認知に関する考え方は、まず2つ以上の物事を比較し、差異を見出す。
そして、その差異を言語化することで、新たな言語が誕生し、物事を認知することができるというものである。
このように、人間は、物事を認知する手段である言語の体系に依存していることから、
言語には世界を喚起する機能があると考えることができる。


回答 5

設問1. われわれの思考や行動は根本に隠喩(〜のようだなどの言葉使わず、 〜だ と言い切る)が存在しており、
概要体系(同類のものの共通部分の集合体)を知る上で必要不可欠な要素である。
隠喩は共通部分の一部、つまり普遍的なので様々な場面に応じて変化できる。
よって、我々は隠喩によって生きていると考えることができる。

設問2. 私が新しく発見した認知に関する考え方は、
一つの言語をあらゆる観点から見ることである。
これをするには客観的に物事を捉えることができるフィードバック、
言語化が必要で、過去の自分と相対的に比べることができることから
言語には世界を喚起する機能があると言える。


回答 6

設問1. 人は何かを形容するときや、意思、感想を伝えるときにメタファーを使う。
1から10まで説明せずともその意味に近い言葉で表す方が簡潔で済むからだ。
「彼女は些細なことで傷付いてしまい、すぐには立ち直れない弱い心を持つ子だから優しく接してあげよう」と言うよりも
「彼女はガラスのハートの持ち主だから優しくしてあげよう」と言った方が簡潔で、
聞き手も彼女は弱い子だというのをイメージすることができる。

設問2. 人は判断をする時、自分の中にある語彙力や価値判断の枠内でその物事を認知をする。
相手の行動や思考が理解できないのは自分の中にその人の言動の価値観や実体験がないからだ。
自分の中に無いことを知ろうとすることで認知、理解することができるようになり、
自分のキャパも自分が見る世界も広げられるだろう、というのがぼくの認知に関する考え方です。