東大阪の学び場|マナビー

第4回 哲学のマナビー

講師:居細工 豊

キーワード
『弱者のルサンチマン』

ニーチェについて調べ、以下の設問に答えなさい。


設問1

ニーチェの唱える【弱者のルサンチマン】の価値観について簡単に説明しなさい。

設問2

ニーチェの唱える【超人】思想は、現代の混迷する価値観に対してどのような意味を持つか。
簡単に説明しなさい。

出題の意図

誰もが陥りやすい、私はこんなに‥‥‥しているのに、
という【のにのに病】は、典型的な【弱者のルサンチマン】の考え方です。
【のにのに病】を治す方法の発見によって、
元気で明るく悔いのない生き方をしてもらいたいというのが、今回の出題の意図です。

参加者の回答

回答 1

設問1. 弱者のルサンチマンの価値観とは、自分を勝手に弱者と思い込み、
強者を攻撃することで弱者である自分を正当化や肯定することである。
弱肉強食社会で発生する「妬み」を持つ自分(弱者)を「善」ととらえ、
強者を悪と設定する転倒した価値判断のことである。

設問2. 超人思想は自分の欲望から目をそらさず、
挑戦する人間の意志のことである。
2010年ごろから社会はVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))時代と呼ばれている。
このような現代において、ニーチェの言う欲望に挑戦する意志を持つ事は、
大変重要だと考える。
つまり、私は不確実で複雑な社会では自分の意志を貫き、挑戦する事に意味がある。
また同時に「格差」も生まれることも意味している。


回答 2

設問1. 【弱者のルサンチマン】の価値観とは、現実で勝つことの出来ない弱者が、
勝ち目のない惨めな現実から逃れるために自己を正当化するような卑劣な負け惜しみをすることである。
その善悪の基準は弱者が作り出したものであり、
その基準は強者への嫉妬から作り上げられていて、弱者に都合のいい価値観である。

設問2. 【超人】とはルサンチマン(嫉妬)を克服して「力への意思」に忠実に生きることのできる人間を意味する。
現代人は『○○らしく(学生、社会人etc)しなければならない』や
『道徳的・倫理的常識を考えて行動しなければならない』などの
多くの価値観に縛られていて、自分に合わない価値観を正しいとされていることから
「自分のやりたいこと」がわからない人が多い。
その中で【超人】思想は、自分を縛る偽物の価値観から抜け出し、
自分が強くなりたい!という本能に従って生かせてくれる意味があると私は考える。

※「力への意思」とは、「生きのびる上で優位に立つことのできる力」のことである
ex)「お金を稼ぐ」上で賢くなりたい!権力・地位が欲しいと思うこと


回答 3

設問1. 辞書によると、『ルサンチマンとは、弱者が強者に対して抱く「恨み」や「嫉妬心」のこと』とされている。
ニーチェはこれを「弱者側の道徳観」と捉え、
弱者は想像の中で強者に対する復讐心を膨らませて心を慰めるとした。
弱者はこれを行動に移すことはない。

例として、有名人の不倫などのゴシップに直接関係は無い我々(弱者)が過剰に反応して炎上させる心理の根底は、
有名人(強者)に対する妬み恨みから来るもので、裏返すと、ひとつひとつの行動に影響力がない自分の正当化だと言える。

設問2. さまざまな価値観や基準を気にせず、欲望のままに自分が優位に生きるという超人思想は、
現代において、自分らしくあるということ、
個人単位で生きることが善とされる現代においては共感を得られる思想である。
「学生はこうあるべき」や「学校や会社に遅刻せずに毎日行くことが素晴らしいことである」
といったような少し古い価値観に縛られることなく、
自分が力を持つ強者になるために自分に素直に生きるためのヒントとなるはずだ。


回答 4

設問1. 【弱者のルサンチマン】の価値観とは、自分より優れているものを悪とみなして、
自分に都合良く解釈して正当化する、要するに弱者が強者に向けての「嫉妬心」である。

設問2. 超人思考とは、元々持っている能力が他の人より劣っており成功の見込みが薄くても自分の欲望から目をそらさず、
挑戦する人間のことをいう。
現代ではモノの考え方がいくつも存在して複雑になっているため、
思考停止をしても物事が進んでいってしまう前の勉強会でもあったフロイト派が多く存在している。
その中でも自分の欲望に素直に向き合いどうするべきか思考し、行動することが現代において必要なことだ。


回答 5

設問1. 弱者のルサンチマンの価値観とは、弱者が強者に対して、
恨みや嫉みなどの感情を抱くことで、自分の方が善い人間だと正当化すること。
弱者は、強弱の価値観で劣るため、善悪の価値観を都合良く作り出し、すり替えている。

設問2. 現代では弱者の善悪の価値観が蔓延している。
それに対して、超人思想は自分の欲望に対して正直に生きる強者の価値観であるため、
社会的な道徳や倫理にとらわれることなく、自己陶冶を促進する意味を持つ。


回答 6

設問1. 人間には強くありたい、優秀でありたいという本能的な願望がある。
「力への意思」がある。それ故、「自分が相手より劣っている」という事実を受け入れることが難しい。
 人は自分よりも強いもの、優れたものと対峙した瞬間に
無意識的に相手を悪者に仕立てあげるストーリーを捏造し、自己正当化を図る。
そのように弱者が強者に対して「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことを「ルサンチマン」という。

設問2. ルサンチマンの概念を認識することは、検証がなされないまま自己を正当化し、
相手を悪と見なす無自覚な「正義」が「絶対的な正義」ではないということを顕在化する意味に置いて有効な機能を果たしている。
 ルサンチマンによって「作り上げられた善悪の観念」ではなく、
人間の内部からこみ上げてくる衝動に身を任せるという「個人」に根ざした価値観を最良のものとする「超人思想」は、
みんなと同じことをすることが「善」、他人と違うことが「悪」という、
社会の均質化を志向する「畜群道徳」に比べ、人間の多様な在り方を促し、
健全な社会を存続させるためのリスクヘッジとなり得る。

例えば、コロナ禍の自粛警察のように、根拠や目的を置き去りにしたまま
「みんながしている」ことを善と見なし、それに従わない者を悪とする「畜群道徳」は、
悪政の際には社会を暴走させ、異を唱える者を排除する状況を生成し、
隣人同士を分断する可能性を孕んでいる。

適度な「超人思想」は、適度に「畜群道徳」への憎悪を育むことで、
多様で風通しのよい社会を維持する機能を果たし得る。


先生から一言

皆さん、誤解のないように申し添えておきます。
強者の素直な欲望の肯定は、社会道徳などを無視した肯定ではなく、
あくまでも、法や道徳の範囲内でのやりたいことをやる事です。
そもそも法が間違っていると思うならば、その法を変えるようにするといいのです。